2024年9月号

「神楽坂女声合唱団」事始め

「神楽坂女声合唱団」事始め

「サァッちゃん!何か楽しい事できないかしら?」
「そうね、楽しいメンバーが集まれば何かできそうね。」
友人の小林カツ代さんと何度か訪れたソウルでのある日の事でした。
ご多分にもれず焼肉、おかゆ等韓国料理と市場探訪に加え、マッサージもトドのようにリラックスしたり。
いつもアレコレ楽しい日々を韓国の料理家チェさんに案内されていました。

以来、何か楽しい事をやりたい願望は机上の空論ではなく真剣な思いに進んでいったのです。
それが現在歌姫たちが大活躍している「女声合唱団」発足、2000年のことでした。
仲間の三枝成彰氏が男声合唱団の「六本木男声合唱団」を作りスタートしていたのを念頭に我々も合唱団で行くことになりました。
何か艶っぽい名前でと、「神楽坂女声合唱団」が誕生したのです。

さぁ、知り合い片っ端から勧誘です。
歌の経験有無はナシ、声の試験もナシ、容姿も財力有無ナシ、ただ元気で楽しく、電話勧誘の一発OKと今現在活躍しながら仕事をしている人を対象にしたのです。
指導は芸大指揮科出身の松尾葉子先生。
ブザンソンコンクール一位の夢のような先生で、弟子の山田和樹先生を助手に指導していただきました。
ちなみに、山田先生は2024年現在、世界のオザワならぬ世界のヤマダカズキとして有名になっていらっしゃいます。
皆、知り合いの紹介から紹介を経ての集まりでした。

兎に角、この寄せ集め団員はカツ代団長の一声。
「団員は世間では先生と呼ばれている人ばかりです。ここではお互いを○○先生、と呼ぶことは禁止。○○さんです。話に○○先生と聞こえたら即100円の罰金です。」から始まり、カツ代オーラむんむんの合唱団が発足しました。
難問の練習場は、プロのみ使用可とされているオペラシティー練習場に目をつけ、この建物を持っている我が義兄をねじ伏せ、現在もプロ合唱団の顔で使用しています。

そして、驚きは発足半年後の12月に恵比寿ウェスティンホテルで55人、第一回のクリスマスチャリティーディナーショーが決定したのです。
衣装はコソノジュンコさんデザインのそれはそれはステージ映えする衣装でめでたくスポットライトを浴びて歌いました。
練習時間も足りず、ただ大勢の見事な団員が集結したコンサートでした。

ディナー部門は団員の料理研究家の面々(カツ代さんはじめ、江上栄子さん、ジョンキョンファさん、石島まり子さん等)が監修し、お酒もたっぷり提供して良い気分になって頂いた後、いざ合唱団出陣!のプログラムは24年過ぎた今でもディナーショーでは恒例となっています。
華は、有り余るほど麗しの竹下景子さん、倍賞千恵子さん、安藤和津さん、野中ともよさん等。
国会議員集団の土井たか子さん、福島瑞穂さん、辻元清美さん。土井さんなどは「愛の賛歌」ソロを交えて歌い拍手喝采を浴びました。
活動はディナーショーの他お声がかりも多数あり、現在もサントリーホール、オペラシティー、芸術劇場等の板を踏んだりしています。

合唱指導は現在、日本合唱連盟の辻志朗先生に引き継がれてその練習ぶりは厳しくも実りあるジゴクエ(チョットオーバー)です。
又、カツ代さんが惜しくも他界されてからは、コシノジュンコさんに団長を引き継いで頂いております。
歳を経て団員は様変わりしておりますが、第24回クリスマスディナーショーはこの12月、日本橋ロイヤルパークホテル、筒が無く決定しています。
一段も二段もレベルアップしたものになると思います。
どうぞ、怖いもの見たさと、選ばれた美味ディナーをお楽しみ頂けるものと思います。
是非御足をお運びくだされば嬉しいです。

話は変わり、私は歌って遊んで恥をかいている絵描きです。
寄る年波になりながら、作品を作っている時が何より幸せ。
その材料はミツロウ、顔料等使用の抽象画制作です。
彫刻刀、刃物使用の作品は根気のいる仕事です。
外資系ホテル客室や廊下、会社などの玄関ロビー等が私の出番になっている所です。
作品の前でハテ?と首をかしげている様子を見ると嬉しくなります。
気持ちが通じる結末は、画家冥利に尽きるというものです。
このモチーフの発端で私の琴線にふれた師というのが、子供たちが道路に残した落書きだったのです。
ある日我が家の玄関前のアスファルトに10mから20m一面に白墨で書かれた5歳児の絵でした。
躍動する線とポジション、余りの素晴らしさにお向かいの玄関ベルを鳴らして褒めました。
ただ、その絵はインド寺院の砂絵曼荼羅のようにあっという間に親御さんによって掃除され、翌日は元のアスファルトになっていました。
その後何度か同じことは繰り返され、幼児は小学生になり、あのビシバシ感動した絵には会っていません。
そうです。あの感覚を表現してみようと思い今でも繋がっています。
新しい感動を見据えながら、パチンとスイッチの入る作品作りをして行きたいと悩み続けています。
大いなる悩みも亦楽しからず哉

山口幸子
関心事がいっぱいの、いつもアタフタサザエさんなので、
5メートル範囲内界隈からはあきれ返られている絵描き。
今、一番の関心事は「平和な世界とこれ以上美しい自然が損なわれませんように」
出来る範囲で見守っています。