お勧めします、「スイカ🍉とトマト🍅の蜂蜜がけ」。
お勧めします、「スイカ🍉とトマト🍅の蜂蜜がけ」。
中国医学を学んでいると「なるほど、昔の人はそんな風に考えていたんだなあ」と思うことがあります。なにしろ数千年前に確立しているのですから、現代の科学知識からみるとなんだか変なの、と思うことも多々あり…のはずが、そうでもなかった。
いまになって、現代科学がようやく中医学に追いついた、という現象が出てきたのだから。
例えば、今回のテーマの“血”。
血は最初から赤いのが当たり前で、途中から赤くなるなんて考えもしませんでした。
古代の中医学の血の生成の説明には、「脾胃で吸収した水穀精微の気から、その汁をとって赤く変化させたものが血である」(『黄帝内経 霊枢・决気』)とあります。
現代医学では、ご存じのように血液は血球(赤血球、白血球、血小板)と血漿から成り立っています。
血漿は、たんぱく質、ブドウ糖、脂質、ビタミンなどを含む栄養豊富な物質。
一方の血球は、造血幹細胞をもとにして分裂と増殖をくり返しながら、赤血球、白血球、血小板に分かれてゆく。血が赤いのは、赤血球のヘモグロビンの色が赤いから、ですよね。
古代の人は科学的な知識があったわけではないのに、血が赤くなるという変化を知っていた。脾胃で吸収した栄養物質を全身に運ぶということも分かっていた、というのは驚きです。
もうひとつ、“汗血同源”という言い方があります。汗と血は源が同じという意味。
「血の汗を流す」というのは、苦労の例えばかりではなく、汗は血でもあるのですね。
血と汗(=津液といいます)はどちらかが不足すればどちらかが補う。
だから、汗のかきすぎは血を消耗させる?
津液も血も“気”が一体となって動いていると考えますので、大量に汗をかくと、血が濃くなるばかりでなく、気が一緒に出てしまうので、どっと疲れるのでご注意。
汗と血と乳のつながりで、あっと驚く記述をみつけました。
汗も血も乳も元をたどると同じ、ということ。
ひとりで面白がっていてもなんなので、簡単にまとめてみます。
「カンガルーやカモノハシなどの有袋類は、小さい赤ん坊や卵を産み落とし、腹壁のひだに挟んで、その底から“乳の汗”をかいてこれを舐めさせる。乳腺の起原をたどると汗腺に行きつくが、これは夏の放熱装置として皮膚の一部であることが知られ、腎臓の補助器官としてこの皮膚を通して血液をろ過する器官であることもまた知られている。(門外漢にはまったくの初耳ですが…) 乳汁とはこのように血液と密接な関係を持つものであるが、このことは、母胎の中での血の繋がりが、出産の後も、母乳の授受というかたちで保たれていることをわたしたちに教えるものである。」(『胎児の世界』(三木成夫 中公新書) |
ところで、血は栄養素や酸素を全身に送り届ける役割があります。
中国医学では「肝が血を受けとると目が見える、足が血を受けると歩ける、手が血を受けると握れる、指が血を受けると摘まめる」。(『黄帝内経・素問』)
また「血液が順調に流れてこそ、精神も健全である」(『黄帝内経・霊枢』)
とまあ、引用ばかりで恐縮ですが、要するに、血は人の体と頭に栄養を与えるとても大事なものだということ。
こんな栄養に富んだ血液、実は世界中に血の料理がたくさんあるのです。
食文化の本を読みあさっていた20代の頃、「ドイツでは豚を屠殺した時に血が新鮮なうちに血の腸詰=ブラッド・ソーセージを作る」と読んで、あれえ、とびっくり。
イギリスやアイルランドでは、血液と穀物、スパイスからブラック・プディングを作るとか。
中国を旅行した際に、市場で血液を凝固させた「血豆腐」を売っているのを見かけました。スープや火鍋の具材として食べるようです。東南アジアでも食べていますよ。モンゴル、朝鮮半島、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ、ラオスでも何らかの形で血を食べている。
アフリカのマサイ族と結婚したヨーロッパ人女性の自伝の中に、部族民と同じ食事をしていたら極度の貧血に倒れて、病院に搬送された話が出てきました。マサイ族の食生活と何が違ったのか?実は、彼女は牛や羊の血を嫌がって飲まなかったのです。
過酷な食生活の中では、血を摂取することが栄養的に非常に重要な意味があったのか、と目から鱗でした。
貧血の人はレバーを食べなさいとよくいいますが、レバー=肝臓は中医学では血液を貯蔵する場所。まあ、レバーも血豆腐も似たようなものか…な?
さて、私達の年代にとっての血のトラブルは、大きくは2つあります。
血が不足する「血虚」と血が滞る「血瘀(けつお)」。
血虚は、血の不足と血の滋養作用が減退した状態で、現代医学の貧血とは概念が少し違います。
舌、唇、爪の色が白っぽい、頭や目がまわる、動悸がする、疲れて力がない、目がぼやける、皮膚がカサカサ、かゆい、手足の末端が冷たい、ひび割れる、髪に艶がない…
「髪は血の余り」という言葉がありますが、白髪や抜け毛、乾燥してぱさぱさなのは、血が足りないせいかも。
血瘀というのは、血液の循環が遅くなって、順調に流れない状態。血行不良です。
原因はいろいろで、気が滞って血行が悪くなる、痰濁(津液が固まってどろどろしたもの。いまでいう中性脂肪やコレステロールでしょうか)が脈を塞ぐ、寒さで血が冷えて凝固する、熱で血が煮詰められる。
やがてひどくなると、固まって血栓や腫塊になる。
顔色が黒っぽい、皮膚がサメ肌でザラザラする、唇や舌が黒ずんだ紫色、舌の裏側の静脈が怒張している、水を飲みたがるけれど多くは飲まない…。
ところで、日本列島、この猛烈な暑さの中で私達の年代が陥りがちなのが、暑さによる食欲不振の血虚と、汗のかきすぎによる血瘀でしょうか。
血虚については、いきなり焼肉で精力をつけなくちゃ、とがんばらなくても、まずは消化がよいものからどうぞ。ご自分の胃腸の調子を確かめながら、おいしく食べることが大事です。
血瘀は、私は予防策として、西瓜🍉とトマト🍅の蜂蜜がけをよく食べます。
西瓜とトマトを一口大に切って、塩少々と蜂蜜をかけて、一晩冷蔵庫に置きます。
西瓜で熱を冷まし、トマトで津液(水分)を生み出し、蜂蜜で保湿するというわけです。
のどの渇きもおさまるし、体も涼しくなるし、何よりおいしいです。
国際中医師 国際医学気功師、国際中医薬膳師。
50カラット会議時代から週1回私たちに気功指南して、現在は水曜日10時からオンライン講座がある。