2024年12月特集号

心はランウェイを行きながら

心はランウェイを行きながら

宇佐美 恵子

人生は良くも悪くも思いどおりにはいかない。
「こんなはずじゃなかった!」と思うことしばし。
一番の想定外は、「歳をとること」。
若いころには70歳になる自分自身を考えられなかったし、70歳の身体がどうなるかなんて想像もできなかった。

電車の中で席を譲られ、そんな年になったことを知る。
逆に、良かれと席を譲り、怪訝な顔をされ、「この方、私より若いのかもしれない?」と苦笑する。
シニアという自覚が持てない不器用。
でも、鏡を見れば年輪が…ね!

昨日までできたことが、できなくなる。
先日、炭酸飲料の蓋が開けられなくなり右往左往した。
そんな出来事のたびに、自分の年齢を自覚するのだけれども、また、すぐ忘れてしまう。
どうしても自分の年齢に、心が付いていけない。

50代の頃には、「10歳若返る」という目標に、いろいろな美容法に挑戦し、身体を鍛え、60代の頃には、「5歳は若返る」という目標になり、食生活やトレーニングを工夫した。
そして、70代の今、どうしたら「現状維持」できるかを考えている。

心と身体が同じように歳をとることはあるのだろうか?
鏡のない世界では、相変わらず、私は素敵なドレスを着て、ステージをウォーキングしている。
さて、明日の自分は何を思うのだろうか?