2024年6月号

気・血・水、うまく流れていますか?

気・血・水、うまく流れていますか?

「それは老化現象ですから、治りません」と医者に言われたことはありませんか?
膝や腰が痛い、足がむくむ、頻尿、皮膚がかゆい。
なんとかしてほしくて病院に行ったのに、加齢だからしかたがない?
年とったことを確認しに行ったわけじゃない!と怒りたくもなりますね。
もっとも、人のからだにも耐用年数があるので、永遠に若くいるわけにもいかないのですが、そこは欲張りな人間。
気功でも中医学でも、昔から不老長寿を目指してきたので、やりようはあります。

老化は一気にやってくるのではなく、中国最古の医学書の『黄帝内経』では、“五臓の気”が順番に衰えていくさまが書かれています。
生まれてから死ぬまでの過程の法則を述べている部分なのですが、“老化”に絞って取り上げると次の通り。

50歳になると、肝気が衰え、目がぼんやりとかすみ始める。
60歳になると、心気が衰え、いつも憂え悲しみ、怠惰になって横になるのを好む。
70歳になると、脾気が虚弱になり、皮膚は枯れてカサカサになる。
80歳になると、肺気が衰弱し、魄(はく/魂魄のはく。説明すると長くなるので省略)を貯蔵できず、言葉もしばしば間違える。
90歳になると、腎気も枯渇してしまい、経脈を流れる血気もなくなる。
100歳になると、五臓の経脈はすべて空虚となり、形骸だけが残って死ぬ

「人の寿命には長短の違いがあるのはなぜ?」という問いには、「生まれつきだけではなく、のちの“養生”が寿命を決める」と答えています。
生まれつき虚弱だから、なんていいわけに過ぎない。
「どういう人が長寿なのか?」という問いには、「もし五臓が丈夫で、血が固まったり滞ったりせず、血が栄養不足でもなく、気が呼吸とともに穏やかに順調に流れ、胃腸が丈夫で消化したものが全身に行き渡って人体を滋養すれば、長寿になる」と。
ともかく、気も血も水も滞りなく循環していることが大事なのです。

ところで、自分の体内の気・血・水の流れがどうなっているのか、簡単にみる方法はコレ。
一応の目安にしてくださいな。
舌をみるのですが、私も毎朝起きると、食事の前に鏡の前で舌をベロっと出して確認しています。
飲食直後だと舌の色や状態が変わるので避けて、蛍光灯は紫色にみえるのでなるべく自然光で。

では鏡でご自分の舌のチェックを始めましょう。
まず、色、形、動き、苔の状態をみます。
健康的なのは、舌の色が淡紅色で、潤いがあり、すばやく自在に動き、舌の上の苔も薄く白いならよし。
次に、舌の先を上あごにつけて、舌の裏側をみます。
舌下静脈が紫色に怒張している場合は、体のどこかで瘀血(血が凝固している)があるかも。
私たちの年代でよくみかける舌をあげてみます。
1.舌の色が淡白で、白い苔がべったりついている。胃腸の弱い方に多い舌です。
食欲がいまいち、足がむくんでいる人も。
舌の色が淡白なのは気血が足りない、またはエネルギー不足で寒がり。
舌がふくらんで大きくなっていたり、舌の両辺がギザギザなこともあります。
白い苔がべったりついているのは、水分代謝ができずに体内に水がたまっていることを表します。
2.舌の色が紅色で、苔が少なかったり割れ目があったり。
舌の先が赤い場合は心に熱があり、両辺が赤ければ肝経の熱。イライラ、怒りっぽい、口の中が乾く、皮膚がかさかさ。便秘気味、不眠。
体内の陰液が足りないのですね。
他の人の舌をみたことがないので自分の舌が紅いのか白いのかわからないという方は、身近な人にベーっと舌を出してもらって観察してみてください。

では、どうすればよいのかは、次回に。

田村亮子
国際中医師 国際医学気功師、国際中医薬膳師。
50カラット会議時代から週1回私たちに気功指南して、現在は水曜日10時からオンライン講座がある。